-IMMORAL ACT-
天宮 葵
医薬品の匂いが充満する屋内を後にし屋上に出る。
そこには新鮮な空気が溢れていた。
っとは言っても所詮ここは東京、大都会だけあって空気はそれ程綺麗なわけではない。それでも……室内とは全然違っていた。
「さっきは悪かったな……」
反対側の喧騒を他所に、出入り口の裏、人が集まる場所から完全に死角となる位置で謝罪の意を述べた。
何処までが本音か……
「本当に悪いとおもってるんですか……?」
謝罪された方の人物は怪訝そうな表情を浮かべていた。
「ああもちろん! まああれだ、好きな子を苛めてしまうって奴だ!」
「貴方は小学生ですか〜!」
花月の声が屋上に響き渡る。
それを蛮はあっさりと交わした。
「そんな事言って、おまえ、小学校とか学校の類、行ってないんだろ!? だったらいいじゃねーか、その気分が味わえたとおもえばよ!」
「……」
確かに否定は出来ない。
だからって……
「言って良い事と悪い事があるって知ってます……?」
花月には学校に通った事は無い。別にお金が無くて……とかそういう理由ではないがしきたり、それ故に出来なかった事も沢山ある。
それは確かにあの頃は受け入れられた。そんな風に育てられて来たのだから……
だけど今は、外の世界を知ってしまった今となっては……
「悪い……」
蛮にもそれはわかっていた。
金持ちの子供に生まれる事が幸せとは限らない。
世界はそういうものだ。
「っち……」
懐からタバコを取り出して日を点けようとする。
しかし……
「ちょっと待ってください! ここが何処だかわかってます!?」
屋上とはいえ、そして死角とはいえ他にも屋上に出てる患者は居るのだから……
その患者が怪我人とは限らない。見た目からはわからなくても肺等を患ってる可能性だって有るのだ。
花月は蛮が火を点ける直前にタバコを取り上げた。
「吸うなら病院を出た後にしてください」
「……」
そう言われてしまえば従うしかなかった。
蛮の実力を考えれば花月から取られたタバコを奪うのは簡単だ。
しかし目の前にはもっと美味しい品があるのだ、これを頂かない手はない。
「わーったよ、その代わり……」
「……?」
気づいた時には花月の目の前に蛮の顔があった。
そして……
「……んんっ……」
花月の唇が塞がれる。
まるで味わうかの様に……
花月が息苦しさを感じる頃になってやっと蛮は花月の唇を解放した。
「ちょっ……何考えて……っあ……」
否定の声はすぐに別の言葉へと変わってしまった。
それは蛮の手が何時の間にか花月の懐に侵入していたからだ。
「んっ、そんなん決まってるんだろ、口が寂しいんだ、煙草が駄目ならその代わりだ!」
「なっ……ここが何処だかわかってるんですか!」
「もっちろん!」
先程の屋上から移動してないのだからいくら死角とはいえ近くに人が居るのだ。
そんな所で……
でもだからってそんな事気にするような蛮では無かった。
「……っあ……嫌っ!」
「おおっと……姫の可愛い喘ぎ声が聞けなくなるのは残念だが流石にここで大声出されるわけにはいかないからな!」
別に蛮1人ならそんな事気にしないのだが花月はおもいっきし気にする。流石にこれ以上花月の機嫌を損ねる事だけはしたくなかった。もうすでに十分損ねているのだがそんな事は気にしない。
喘ぐ花月の口を手で塞ぎもう片方の手で懐に隠し持っていた包帯を取り出す。そのまま花月の口に被せ猿轡を噛ませた。
「……んっ……」
慌てて花月がそれを外そうと動くがそれよりも蛮の動きの方が一瞬速い。包帯を手に取ろうとしていた手を逆に捕らえもう1つ持っていた包帯で後ろ手に縛った。
「……ん……ん……」
それでも花月は抗議の声を発しようとするがそれは結局音にはならない。
とはいっても蛮にも大体何を言いたいのか伝わっていたがそれはあえて無視し、行為を続けた。
花月の胸の飾りを弄っていた指が徐々に下へと移動して行く。そしてそれはすでに張り詰めた花月自身へと辿り着いた。
「もうここ、こんなになってるぜ!」
反論出来ないとわかっていて言葉で嬲る。もちろん弄る手の動きも止めてなどいなかった。
そして花月自身から漏れ出した白濁の液をわざと指に絡め、目の前に差し出す。
本当ならこのまま口内に運び入れたいものだが猿轡が邪魔をしてそれは叶わない。まあこれはまたの機会にと決めて指を花月の秘所へと持っていった。
そして早急に中に指を埋めていく。
まだ慣れきっていないという事はわかっていたがここ数日どれだけ自分が心配したかを考えればこれくらいの代償は貰ったって罰は当たらないだろう。
「……っ……」
声が出せない事で花月の顔は何時も以上に苦しそうに歪んでいた。
その表情がまた蛮そそる。
「そろそろ良いか? それとも……一度イッテおくか?」
「……んっ」
答えが返せないのがわかっていての発言、蛮は意地の悪い笑みを浮かべた。
「場所が場所なだけに時間をかける訳にもいかねーし、やっぱこのままいくっきゃないわな!」
口ではそう言いつつもその表情は最初からそのつもりであった事をしっかりと語っていた。
どうやっていれるかに一瞬迷う。ここは屋上だしで寝かせられない、かといって後ろ手に縛っているので立たせるのも一苦労だし体制的に大変だろう。
なら……
蛮は花月の腰を持ち上げ、花月自身の重みで挿入される様に体制を変える。
元々花月を己の膝に上に座らせていたのでたいして労力も必要としなかった。
「……んっ!」
声は出せない上に自らの重みで深く受け入れてる状態をあって花月は苦しさを露にするがそれでも蛮は容赦しなかった。
花月の腰を掴み、自身は動かず花月を動かさせ刺激を与えてやる。
そして―――――――
「……っはぁはぁはぁ……一体、何考えてるんですか貴方は!」
やっと解放された花月が抗議の声を上げた。
場所は場所だし、それに仮にも怪我人相手に……
「何ってお前の事!」
「よくもまあ平然とそんな台詞言えますねぇ……」
「今に始まった事じゃないだろ! しかし……花月、そろそろおまえ病室に戻れよ」
いい加減十兵衛も検査を終えて戻って来る頃だろう。
「それとも……これから一緒に産婦人科にでも行って見るか?」
「なっ……何考えてるんですか貴方は〜!」
花月の叫び声が屋上に木霊した。
「冗談だよ、冗談! 悪かったよ……」
この場合冗談にしても質が悪過ぎる。
「とにかくだ、そろそろ戻れ!」
「言われなくても戻りますよ……はぁ……何で病院で規則正しい生活を強いられてるはずなのにこんなに疲れてるんでしょうね、僕……」
病院の消灯時間は9時とか10時と早いし、する事もないので自然と寝ている時間が長い。
普段そんなに沢山睡眠が取れる訳でもないので普段より沢山寝ているはずなのに……
「そりゃあまあ病院ってシチュエーションに俺様が萌えたからだ♪」
「……何で僕……貴方なんか好きになっちゃったんだろう……苦労すると分かりきっていたはずなのに……」
「んっ? 何か言ったか!?」
「何も……それじゃあ僕は病室に戻ります。貴方も気おつけて帰ってくださいね……」
後ろから飛針なり掌握なりを食らわない様に……
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