しっとりと吸い付くようなきめの細かい最上級の白い肌に唇を滑らせながら手は一箇所の熱を煽る。 女相手に前戯などほとんどしないが、この人物相手には必ずしつこい位してしまう。 決して愛情とかそんなものではなく、ただそうした方が楽しめるからだ。 この体は最高の悦楽をもたらしてくれる。 別に男を抱くのは初めてではなかったが、男にしろ女にしろここまではまったものはいない。 あの時、相棒の目を盗んであそこに行ったからこそ手にれられた快楽。 そう、あの日あの場所でこいつに会ったからこそ・・・ 派手な音楽を流し、赤や青、緑といったライトを効果的に使い個々の区別を無くしている店内のカウンター席で それはここではごくごく普通のこと。 この店に集まるの者達は色々な目的を持っている。 情報を売るもの買うもの。表立って出来ない取引をするもの。腕を売るもの買うもの。 そして、何かを持っている男達を目的に女が集まり自然と快楽を漁る者達が集まる。 快楽を目的にここに来た途端、蛮の内に秘める匂いを敏感に感じ取った何人かの女達は当然の様に集まり、 そんな女達からできるだけ自分好みのものを選んでいた時、不意に違和感を感じた。 まるで、そこだけ空間が歪んでいるような微かな違和感。 自分の方へ気を引こうとしている女を交わしながら、、店内へ視線を送る。 その瞬間、適当に受け答えていた女達の話へ返事を忘れた。 そこには普段はなかなかお目にかかれない酷くそそる白く綺麗な顎から首にかけてのラインを髪を その姿は扇情的であり酷く妖艶だったが、どこか犯しがたい雰因気が醸し出されていた。 以前会った時からは全く想像できないようなその様に僅かに興味が引かれ、引き止める女達無視し席を離れる。 他人には無関心に自分の用件を果たしているもの達を避けながら、手の届く距離まで近づいても相手は顔を上げずに 白い肌が青や赤っといたライトに浮びあがっては消えていく様を近くで見ながら、すっと、 「これくらいか?かづっちゃん。」 嫌味を込め相棒が呼ぶように呼ぶ。 しかし、それに対して相手は無造作に顔を上げたが、すぐにグラスに視線を戻した。 「生憎ウリはしていません。」 そのどうでもよさげに答え方に様に微かに目を見開く。苛烈な目で睨みつけるのをからかってやるつもりだったのだが・・・。 そいういってことは許さないものだと思っていたが、どうやら違ったらしい。 その意外な一面に微かに好奇心が首をもたげ始める。 「そりゃ、残念」 全く残念そうではな言い方をしながら、向かいの席に腰を下ろす蛮に花月は顔をあげないまま面倒そうに言葉を投げる。 「連れがいるとか考えないんですか?」 「こんな店にか?」 ここは人と来る場所ではなく連れをえる場所だ。 「待ち合わせとかあるでしょ」 「俺には関係ないな。」 「勝手ですね。」 先ほどから気だるげで投げやりな返答をしている花月に蛮は正直意外だと思わずにはいられなかた。 銀次から刷り込まれるように『綺麗で優しい』という言葉を言われ続けていたせいで、お綺麗で世間知らずな だが、不思議と何故か自分に通づるモノを感じていた。 そのわけが何故か唐突に理解できた。 この美人さんは自分と同じように命のやり取りでさえゲームのように楽しめるそんな人種だ。 程度には闇も経験も持っている。 (何が、綺麗で優しいかづっちゃんだ!あのアホ) 道を違えず進む相棒に内心毒づきながらも目の前の相手により興味がそそられている。 そんな現実に笑みが零れる。 「じゃーなんで、お綺麗で優しいかづっちゃんがこんなきたねーとこにいんだ?」 「・・・暇だからですよ。」 一口だけカクテルを口に含み机におこうとした相手のグラスを受け取り同じように口に含む。 口に広がるのは甘さや辛さなどではなく、しびれるような感覚だった。 「へー弦の花月ともあろうものが暇だからといってこんな安酒飲んでるのか?」 「そういう気分なんですよ。あなたこそどうしてここへ?女性でも買いに来たんですか?」 「うんな、金ねーよ。ナンパしに来たんだよ。」 「なら、僕なんかと話してないで口説いてきたらどうですか?」 言葉遊びのようなやり取りが割と心地よい。 「確かにな。だが、ここにはお前ほど美人がいないんでね。待ちに入ってるんだよ。」 その言葉に花月ゆっくりと顔をあげ僅か一瞬値踏みするような表情をした後、すっとこちらのサングラスを 自分の持つ邪眼を知っていて正面から覗きこむ者は少ないため一瞬体が引けてしまう。 そんな様に花月はくっと唇の端を上げ貴婦人の品位と娼婦の妖艶さを持つ笑みを浮かべた。 「なら、僕がお相手しましょうか?」 その言葉にゆっくりと視線を相手の体のラインそって下げていく。 その辺の女では敵わぬ色香を持っていることからも、楽しませてくれることは分かりきっている。 なら、それもおもしろいかもしれない。そう思い挑発的な表情を浮かべて見せる。 「うりはやんねーんだろ?」 「ええ、うりはね。」 「ただで、やりたいだけか?」 「それはあなた次第ですね。自信、おありでしょ?」 挑発を挑発で返され、相手のグラスを空ける。 「いいぜ。お前で妥協しとくさ。」 その言葉に花月は何も答えずすっと席を立つ。 それを了承と受け取り、ゆっくりと入り口へ歩を進めていくのだった・・・。 シャワーを浴び身支度を整えながら花月は気だるげにベットでだらだらしている蛮に視線を流した。 「あんだ?」 「・・・途中何か他のこと考えていたでしょ?」 「あーあぁ・・・忘れた。」 二つ目の鈴をつけながら興味なさげに尋ねてくる相手に対してどうでもよさげに答える。 それに対して花月はそうですかっと返事をし、自分の荷物を手にとる。 「それじゃ、銀次さんによろしくいっておいてください。」 それだけ言うと、ろくに蛮の方を見ずに部屋を出て行った。 蛮はそれに何の感慨も持たず当然の様に受け止め、安いが強いタバコを一本取り出した。 もらい物のライターで火をつけ、ゆっくりと吸い込むと肺が煙で満たされる感覚が広がる。 そして今度はそれを吐き出し、煙が流れていく方をなんとなく目で追って行く。 そして、光が煙に拡散されている様に窓の方へと視線が行く。 「あー今日も晴れてんなー。」 窓から見えるのはすんだ空。届きそうで届かないその色にそっと目を閉じるのだった。 |
茶屋さんの所でキリ番踏んで頂いた蛮花です。
茶屋さんの所の蛮と花月さん、結構独特の感じがあったので、
是非、「茶屋さんの所の蛮ちゃんと花月さんのなれ初め」が知りたい〜!と思い
書いて頂きました。
ある意味、割り切ってる2人、と言うのも違った意味でときめきを感じますね(^^;)
茶屋さんありがとうございました〜♪
(結局裏に送っちゃいました・・・かなり悩んだのですが・・・^^;)